青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイン/
メディアコミュニケーション2018

本授業ではグループでアート系ワークショップの体験(芸術表現体験活動)とそれを振り返る活動(省察活動)を行います。
これらを円環的に繰り返していくことを通して、最終的には多面的な自己に気づいていくことを授業の到達目標としています。
他者と様々な体験を共有することで気づきが生まれ、自分の「ならでは」を見つけることができるかもしれません。

第1回 【導入】ワークショップデザインについて2018

2018年度も「ワークショップデザイン・メディアコミュニケーション」の授業が行われました。

第一回目は授業の目的や内容の説明を行いました。本授業は、3限・4限と続く180分間の授業となっており、その時間内に、芸術表現体験活動ワークショップと、振り返る省察活動を繰り返し行います。また、自分の体験した学びの履歴を「見える化」するためにポートフォリオをつくることで自分ではまだ気づいていない「多面的自己」に気づいていくことを目的としています。

「座学」として講義を聞くだけのスタイルではなく、他者との関わりの中で自分を表現し、学んでいく内容となっています。また、本授業の特徴として「学ぶことを支援する人がいる授業」であることが挙げられます。特別研究員、大学院生、ゼミ生など、いろいろな目線を受けることで自己を発見していくための足場掛けがかけられるような仕組みです。

授業の仕組みに関して説明の後、授業を受けるにあたっての「学び方の提案」が行われました。「目的の階層性」「Flat Importance」の2点です。「目的の階層性」とは、「○○(活動目標)を通して○◯(学習目標)を学ぶ」ということです。本授業では、ダンスや演劇のワークショップも行なっていくのですが上手くやろうとする必要はないということです。例えば、「ダンス」を上手に踊る、ということが目的なのではなく「ダンス」を通して「皆で身体を動かす楽しさを知る」「ダンス」を通して「音楽にのる喜びが分かる」など学習の目標は活動とイコールではない、ということが伝えられました。

「Flat Importance」とは、重要性の平板化です。 本授業では、同学年だけでなく2年生から4年生までいろいろな学年が混じっています。「授業内では敬語禁止!!!全員タメ語で!!!!」というルールが言い渡されました。

授業の特徴や、学び方の提案を理解したところで、実際に身体を動かしていきます。第一回目のワークとして「ビタハピ」を行いました。「ビタハピ」とは初対面の人どうしのコミュニケーションをお手伝いするための道具です。ハッピの色の組み合わせで様々なグループをつくることができます。まだ一回目ということで、初めて会う人もたくさんいます。どんな人と一緒に授業を受けるのか理解してもらうためにいろんな組み合わせでコミュニケーションをとってもらいました。

次に「Message Card」の交換です。4人1組のグループになってもらい、1人3分でインタビューをしあってもらいます。「この人はどんなことができるかな?」ということを考えて付箋に書き込んだものを渡してもらいました。

ここで「スケッチブック」登場です。授業を通してスケッチブックを使って「ポートフォリオ制作」を行なっていきます。毎回、体験や感じたことを「見える化」することで、自分たちの学びの履歴を残していきます。スケッチブックの他にも付箋、面白い色ペン、クレヨン、シールなど様々な道具が配布されます。絵を描くのが苦手な子でも、道具を使って自分を表現していくのに慣れていってもらいます。授業が進んでいくにつれて、どんな変化があるのかというのも楽しみです。今回は、スケッチブックに「自分でやってみたいこと」「自分でできそうなこと」「自分でできること」を合わせて10個書いてもらいました。

最後に、「ポートレート撮影」を行いました。教室の後ろに撮影スタジオを設置して、1人ずつ撮影していきます。緊張している様子でしたが、様々な表情で撮影されていました。1回目から盛り沢山な内容でした。

第2回 【導入】授業の意味や活動の目的を理解する2018

2回目の授業では第1回目に引き続き、授業の目的や趣旨について理解を深めていきます。意味や目的を見失うと、活動中にどうしたらいいのか分からなくなってしまいます。そのため、授業に出てくる要素の意味や活動の目的についてじっくり説明をすることで、活動の心の準備をしてもらいました。

授業に関する説明が終わったところで、グループワークをおこなってもらいました。KJ法を使って、メンバー4人で話し合っております。テーマは、「授業の目的や内容、仕組みの説明を聞いての感想や疑問を考える」こと。KJ法で出し合った意見の中から、1グループで3つの疑問点を選んでもらいました。さらに、グループ内から1名代表者を選出してもらい選んだ3つの疑問点を持って別室に移動してもらいました。元の教室と別室を中継でつなぎ、代表者たちが集まって話し合っている様子が見えるようにしました。それぞれ持ち寄った疑問点を出し合い、さらにKJ法でグループ化してもらいました。芸術表現活動の授業がはじまる前に、授業に関する様々な疑問を消化できたのではないでしょうか。

次に、「コミュニケーションに生じるズレ」を体感するワーク「Dialog4」を行いました。このワークは、4人1組で行い「自分のした話しが他の人から自分へかえってくる」といううわさ話の原理になっています。授業の終わりに書いてもらったリフレクションシートでも「うわさ話」の原理を実感してくれました。

上記をふまえて自分には、どんな力があるのか?ホームグループで、「この人だからできそうなコト」を話し合ってもらいました。話し合っていく中で、それぞれ自分に「◯○力」があると能力仮説をしてもらい1分間のプレゼンをして動画を撮ってもらいました。

最後に、今日行った出来事をスケッチブックにまとめます。本日撮影した写真のシールや資料が配られ、それらの資料を使って頭の中も整理して、ポートフォリオとしてアウトプットしていきます。グループワークをたくさん行い、「グループメンバーと仲良くなれた!」と書いている受講生も多くみられました。

第3回 【芸術表現体験活動1】演劇ワークショップ 田上 豊氏2018

第3回目の授業はアート系ワークショップの(芸術表現体験活動)体験回です。ゲスト講師は「田上パル」主宰(http://tanouepal.com)、劇作家・演出家の田上豊氏。田上氏は教育現場を中心に、創作型・体験型のワークショップを全国各地で実施されています。今回は田上さんをお招きして芸術表現体験活動としての演劇ワークショップを実施しました。

【1】アイスブレイク

はじめに、アイスブレイクとして「鬼椅子とりゲーム」「ゾンビゲーム」が行われました!

▼鬼椅子とりゲーム

鬼に椅子をとられないように、協力しあうゲームです。
はじめはすぐに鬼に椅子をとられてしまってしまいましたが、作戦会議を立てて、お互い声をかけあうなどの工夫をして、連携していました。

▼ゾンビ鬼ゲーム

鬼がゾンビ役となり、つかまったらその人もゾンビになってしまう・・・というゲーム。学生たちの逃げ足が速く、苦戦していましたが、最終的には全員ゾンビに・・!

アイスブレイクを終え、初めての体験回で緊張していた学生も、どんどん白熱していく場の雰囲気にほぐされていく様子がみられました。

【2】メインの演劇ワークショップを体験!

メインワークとして、学生に穴あきの台本が配られ、見本として受講生の3名に演劇の台本を読んでもらいました。田上氏が、場所の設定や穴が空いているセリフを変えて、役割をローテーションしながら演じてもらいます。場所の設定や、一部のセリフが変わるだけでガラリと雰囲気が変わるのがわかりました。ここからは、グループで配布された穴あき台本に入れるセリフを話し合い、台本を完成してもらいました。台本を完成させたところで、早速演じてみます。しかし、自分たちの考えた台本を演じるのではありません。台本をシャッフルして、他のチームが作った台本を演じます。一度回収された台本の中からランダムに選ばれた台本が学生たちに渡されていきます。配布された台本を読み、台本通りに演じる練習をしていきます。出来上がった演劇を1チームずつ発表していきました!

台本から受けた場所の設定を行い、それぞれ道具や場所の選定を工夫していました。HACOBOをソファに見立てたグループ、ドアをお店の入り口に例えたり、キャラクター設定にも工夫が見られ、声のトーンや歩き方、喋り方など、それぞれ台本に書かれている設定に合った演出をしていました。最後に田上さんから全てのグループに向けて一言ずつコメントをいただきました!

【3】体験したワークを振り返る!

ここからは、体験したワークショップの振り返りをしていきます。まずは、ジグゾー法で別のグループの人と混ざって、ワークの感想を共有します。どんなところが面白かったのか、お互いのポイントを伝え合ってもらいました。そのあとは、ホームグループに戻り苅宿研究室のゼミ生からフィードバックをもらいます。前半に行ったワークを踏まえて、自分たちの「グループのキャッチコピー」をつけてもらいます。自分たちには、どんな特徴があるのかそれぞれ意見を出し合いながら考えていました。A3の用紙に書いて、1分間でプレゼンする映像を撮影してもらいました。

【4】ポートフォリオにまとめる!

授業最後は、前回同様ポートフォリオ作成を行いました。実際に体験したこと、振り返りで感じたことなどをスケッチブックにポートフォリオとして「見える化」していきました。

第4回 【芸術表現体験活動2】演劇ワークショップ 増田 敦氏2018

第四回目の授業は芸術表現体験活動の体験回です。先週の田上さんに引き続き、演劇のワークショップを行いました。本日のゲストは演出家の増田敦さんです。増田さんは劇団俳協(https://haikyo.co.jp/theatrical/)に所属しており俳優として舞台活動や声優活動を行うとともに、演出家としてもご活躍されています。

【1】アイスブレイク

まずは「じゃんけんキング」です。じゃんけんに勝ち続けた人がキングになれるのかと思いきや、そうではありません。3回負け続けた人から勝ち抜けでき、一番早く負け続けることができた人がじゃんけんキングになれるというルールです。

その次は「セブンじゃんけん」です。2人でじゃんけんをして出したものを足して7になれば勝ち抜けすることができます。そのため、普通のじゃんけんでは出すことはない3本の指や4本の指も出すことができます。

続いて行ったのが「セブンイレブンじゃんけん」です。先ほどのセブンじゃんけんよりも難易度がアップ。3人でじゃんけんをして出したものを足して11にするというじゃんけんです。11にするためになんの手を出せばいいのか考えながらゲームを行いました。
アイスブレイクはグループで演劇づくりをスムーズに行うための協働体験としての効果がありました。

じゃんけんのゲームが終わった後は、「ステータスゲーム」を行いました。これはステータス(地位)を表す数字を見ながら態度で表現しながら自分の地位を当てていくゲームです。ステータス(地位)は1~34の番号が書かれたカードで決められています。数字が小さくなるほど偉い人、つまりステータス(地位)が高い人ということになります。自分の数字がわからない状態で言葉を発せずに周りの人の態度を見ながら自分のステータス(地位)を当てていくのはなかなか難しいです!できるだけ多くの人と関わっていけばいくほどだんだん自分のステータス(地位)がわかってくるところが面白いですね。

【2】社長ゲームで演じてみる!

続いて、社長ゲームを行いました。ルールの説明の前に、今回の演劇ワークショップでのキーワードの“見立てる”ということを考えてみました。“見立てる”というのはモノボケでイメージされるような、モノを何かに見立てて演技をしてみよう、ということです。小さな子供たちのヒーローごっこをイメージするとわかりやすいです。例えば、新聞紙をマントに見立てて正義のヒーローになることもできます。見立ててみることで想像力が広がり、演劇で表現できることも広がりそうです。

社長ゲームでは、グループで社長と部下たちで繰り広げられる逆境のシーンを演じてもらいます。例えば以下のように焼肉屋で社長とその社員による社長ゲームはこのようなシーンになります。

社員A:(慌てながら)社長!大変です!
社長:どうした?
社員A:社屋が火事で燃えています!
社長:それはちょうどいい!
社員全員:(大変驚いて)えええーーーーー!!!
社長:ちょうどいいから、みんなでバーベキュー大会をしよう!
社員全員:さすが!!社長!!

火事という逆境をバーベキューというチャンスに変えてしまうギャップが面白いポイントです。その後、“見立てる”小道具や効果音アプリを駆使しながら様々な逆境をチャンスに変えるシーンを台本化し考えてもらいます。演技の練習も十分に行った後は全体で発表会を行います。

例えば、

お姫様に起こった逆境を家来たちが報告するという設定では、王子様が逃げてしまっても好きじゃなかったからちょうどいいわと言って優雅に乗りきり、最後には城に侵入した泥棒を新しい王子様にしてしまいました。3つの逆境がうまく繋がっていて印象的でした。

患者さんの逆境を医者が解決するという設定では、あと3分で止まってしまう心臓をカップラーメンを作りたかったからちょうどいい。と医者は逆境をポジティブに捉えるギリギリアウトなブラックジョーク。チーンという効果音もうまく入っていました。

姫が大切に育てていたアヒルが死んでしまったという逆境では、社長は北京ダックが食べたかったからちょうどいい!と乗り切りました。姫の驚く返答に「かわいい~」と言ってしまう社員たち。社員3人の雰囲気がセリフの言い方を工夫することで伝わってきました。

【3】ワークを振り返る。

演劇ワークショップの省察活動を行います。振り返ることにより、多面的自己の発見・定着を目指していきます。さっそく、振り返りのために今日の芸術表現体験活動のラッシュ(写真をつなげて動画にしたもの)を見ました。時系列でなにが起こっていたのかを見ることで省察を促す重要な要素になります。

ワークを行ったグループで増田さんの演劇ワークショップを振り返ります。作成した各グループのキャッチコピーを元に何がおもしろかったのか、自分たちのグループは何ができたのか、などを振り返っていきます。

ここで、苅宿ゼミ生から各グループへ活動の様子をフィードバックしていきます。活動中担当グループを観察していたゼミ生は気づいたポイントを映像やメモなどに残しています。それを元に受講生の皆さんが芸術表現体験活動中の「無意識な自分」の発見につながるようなエピソードや気づいたポイントを受講生に伝えていきます。

それから、個人のキャッチコピーの作成を行いました。昨年度受講生の考えた個人キャッチコピーや広告のキャッチコピーの例をみながら考えていきます。体験した活動から言語化することがポイントです。〇〇な〇〇といった2つの概念を混ぜるようなキャッチコピーを考えてみることで芸術表現体験活動を通して見つけた自分の多面性を言語化してみます。そのあとは、作成したキャッチコピーをA3の用紙に自由に記入し、1分間のプレゼンを撮影しました。

第5回 【省察】体験を振り返る2018

これまでの4回の授業をを振り返る省察(せいさつ)を行いました。授業のスタートから前回の演劇ワークショップを含め過去の授業で何が起きたか、自分の中で何の変化があったかを振り返ります。

省察活動に役に立つ材料は今までの授業の中で作成してきた、ポートフォリオ、能力仮説、キャッチコピー、1分間プレゼン、出来ごとシール、リフレクションシートなどがあります。まず、今まで作成してきたポートフォリオを完成させる作業から始まりました。ポートフォリオは過去の出来事を記した自分だけのヒストリーブックです。省察活動で重要なのは「自分を考える、多面的自己への気づき」です。

ポートフォリオ作成の後、省察活動の続きとして、「他者を通して自分の当たり前に気づく場」が提供されました。それは観察者として記録を取っていた、苅宿研究室ゼミ生によるフィードバックです。グループ担当のゼミ生が受講生1人ひとりに対して授業中にとった記録などをまとめて、作成した動画でプレゼンをし、受講生の皆さんにフィードバックしました。受講生は他者からみた自分を紹介してもらったということになります。自分に対する新しい発見が少しでもあるといいなと思っています。

次に、各グループでKJ法で自分(たち)ってどんな存在だっただろうかということをまとめました。改めて自分について振り返るために、

  1. 受講生、各々の志望動機の動画
  2. 各々の個人キャッチコピーを表す動画
  3. グループのキャッチコピーを表す動画

を見返しました。ホームグループが構成され、グループのメンバー同士が仲良くなり、そのグループの中で1ヶ月前の自分とどう変わっているかを振り返ってみると、自分のコミュニティについて考えることにもつながりますね。

このあとは、一旦ホームグループは今回で解散となるということで、ホームグループごと記念写真をとりました。記念写真は今、5月の季節感を感じるために外で緑の中で撮影されました。

知識構成型ジグソー法で新しいグループを結成し、先ほど作成した、自分たちのグループについてKJ法でまとめたものを新しいグループのメンバーに紹介しました。

ここで登場したのはミーティングレコーダーです。ミーティングレコーダーは人の話を聞く時に自分がどんな表情をしているのかを見ることができる4面型カメラです。この新しいグループで過去2回の芸術表現体験活動で印象に残っていることについて会話してもらい、その様子を4面型カメラで撮影します。その動画をグループのみんな見てみます。「こんな顔してるのー!」といった驚きの声も多く上がっていました。

2度目のミーティングレコーダーでは少し意識して会話をしてみます。その後、ミーティングレコーダーに映る自分をどう思ったかをテーマに話し合ってもらいました。2回目の動画で変化がある人や、ない人もいたりと様々です。話している自分だけではなく他の人の話を聞く自分もどんな表情していたかを見ることのできる機会は滅多にないので意外と知らない自分を知るいい機会になったのではないかと思います。

新しいグループのみんながお互いのことを知るためにここでフリートークの時間をとりました。フリートークを終え、新しいグループのキャッチコピーを作ります。その後できた新しいグループのキャッチコピーについての説明を1分間プレゼンしてもらいました。

最後に本日のポートフォリオ作成を行って、本日の授業は終了です。
次回はコンタクトインプロヴィゼーションダンスのワークです!

第6回 【芸術表現体験活動3】ダンスワークショップ 勝部氏・鹿島氏2018

第6回目は「芸術表現体験活動」のワークショップです。

2週にわたって「コンタクト・インプロビゼーションダンス」という身体の接触を続ける即興パフォーマンスでデュエット形式が中心のダンスのワークショップを行います。

「コンタクト・イントロビゼーションダンス」とは「 ”人と踊る喜び” を糧に他者とのコンタクト(接触や関係性)を保ちつつ、「力」「重さ」「意志」などを、言葉を使わずに受け渡しあいながら、力学にも則り、即興で紡ぎだす対話のようなダンス」 (http://www.geocities.jp/sholoverfg/cn9/pg78.html 文責:勝部(2011,1月))と言われています。

本日のゲストは、日本初のコンタクト・イントロビゼーショングループを2000年に立ち上げ、「ふれあうことから始まるダンス」としてコンタクト・イントロビゼーションの広く深い可能性を追求し、様々なワークショップや交流活動、公演活動、行進育成などに力を注いでいる勝部ちこさんと鹿島聖子さんです。

まずはウォーミングアップ。受講生は一人ひとり自分の生まれた場所を東西南北の方向に向かって立ち、一番楽な姿勢で立ったまま目をつぶり、自分たちが生まれた時から今日、今、この瞬間に至るまでの人生を2分で思い出し、この場所に辿り着くワークを行いました。

みんながこの場所にたどり着いたところで、目を開き、体をほぐし始めます。固まった体を解す為に歩き出します。しばらく歩いたら、どうしたら楽しく歩けるかを考えて楽しく歩いてみます。続けて、歩くテンポを1.5倍のスピードにして歩いてみます。その時にできるだけ多くの人の目を見ながら歩くのがポイントです。今度は後ろ向きで歩き出します。しばらく歩きづづき、次は限られた狭い所に大勢で歩きます。人と人の間を抜いて歩き、続けて3時間走りきる気持ちで小走りします。できれば全員とハイタッチしながら小走りしたら最後にウロウロする気持ちで足の音を消して歩きます。歩くという動きに対して短時間でこんなにたくさんの動きが結びつくとは、やはりここでしかできない非日常体験です。

体をほぐし温まったところで、立っている36人の受講生が他の人の動きをよく見て、他者とかぶらないように違うタイミングで座る、座った状態から寝転ぶワークを行いました。

ここから本格的なワークが始まります。最初は「お母さんとお子さん」というワークです。2人でペアを組み、お母さんとお子さん役を演じます。お子さんは寝ていて起き上がろうとするタイミングでお母さんは「おはよう」というが、まだ寝ていていいんだよ!という気持ちでお子さんを起き上がれないようにするというワークです。

次は「リーダーとフォロワー」というワークです。2人で1組になり、リーダーとフォロワー役を決めます。リーダーが差し出す手と動きに合わせてフォロワーが手を繋ぐのですが、その前に即興に新しい動きをしてから手を繋げて、それを繰り返します。1組から2組、さらにいくつかの組で取り組み、協同で続けて行きます。1つ先、相手だけではなく自分の動きの展開さえ想像できない中で即興に動き、相手に空間を提供しながら、自分が相手のいない、自分がいないスペースを自分のダンスで、動かしで続くこの場がマックスに盛り上がっています。

次にお互いに一番ふさわしい相手を選べるチャンスが与えられ、新しいペアを組みます。「他人のNegative spaceにふれる」ワークです。パートナーと触れ合う中でふれてもいい所とふれない方がいいかと感じる部分を感じ取り、ふれない方がいい、ネガティブなスペースを発見したら堂々とふれ、なれていきます。

続けて、先ほどのペアで「ソフトすもう」というワークに入ります。キーワードは「地球にもやさしく、相手にも優しく」お互い永遠に押し合いながらバランスをとるワークからバランスよく引っ張り合うワークもやりました。

最後のワークは4人が1組で行います。最初は2人だけが「リーダーとフォロワー」と同じ動きをします。もう2人はウロウロしながら踊る2人を観察し、自分が入れるタイミングを計らいます。2人がふれあい、即興で動く空間の中で3人目のメンバーが自分の動きで自分のスペースを作りながら入ってくるタイミングで3人目のメンバーと繋がっていない1人がその場を離れ、次第に新しいペアになり、次のメンバーに空間を提供して永遠に新しいペアが組まれるワークです。

受講生たちはこれらのお互いに触れ合い、即興に踊るワークの中で夢中になり、感じたままに動き、その予測できない動きや当たり前の自分と違う自分に驚いているようでした。本授業の目的は毎回述べているように「自分を考える」ことです。受講生にとって非日常的な体験として提供された今回のコンタクト・イントロビゼーションダンスの芸術表現体験ワークショップが多面的な自分に気づく動機となっていれば幸いに思います。

ワークが終わり、教室に移動して省察を行います。まずは体験したダンスのワークショップでの写真を見るところから始まります。コミュニケーションに関わるワークショップを考えるときに ”あまり知らない人とも気軽に話せる雰囲気作りに参加する” ということを体験するために行ったのがTea Party形式の省察です。お菓子や飲み物を飲みながら、グループで先ほどのワークショップがどうだったかを振り返ってみます。予想よりとても盛り上がっている様子でしたね!”自分の好きなこと”をキッカケにゼミ生も混ざりながらさらにみんなで話をします。

次に今話したことを思い出しながら、「顔見知りの人と話すときのキッカケ」を動画に撮りました。最後はポートフォリオ制作です。ワーク中にゼミ生が「夢中・協働・即興・笑顔・コンタクト」の5つのテーマで撮った写真シールを見ながら、各自でポートフォリオを制作していきました。今日の授業はここまでです。来週も引き続きダンスのワークショップを行います!

第7回 【芸術表現体験活動4】ダンスワークショップ セレノグラフィカ2018

第7回目の授業は、芸術表現体験活動の体験回です。2週にわたって「コンタクト・インプロビゼーションダンス」という身体の接触によるデュエット形式が中心の即興パフォーマンスで、ダンスのワークショップを行います。

本日のゲストは、セレノグラフィカのお二人です!隅地茉歩(まほさん)さん、阿比留修一(あびさん)さんのお二方からなるダンスユニットです。セレノグラフィカとは、Selenography(月面地理学)+icaで「月究学派」(時間や場所によって変化する月のように、とらえどころのないものーダンス、そしてアートーを追求する者たち)の意味だそうです。関西を拠点に国内外、屋内外を問わず幅広く活動を展開する結成17年のダンスカンパニーで、多様な解釈を誘発する不思議で愉快な作風と、緻密な身体操作が持ち味です。(http://www.jcdn.org/~danceleaf/selenographica.html)

まずはウォーミングアップとして行ったのが「名前でバンザイ」です。トントントントンという軽快なリズムに合わせて、足踏み・バンザイをしながら自分のあだ名を言い、周りの人たちも一緒に繰り返して名前を言います。次は限られたスペースの中を自由に歩き回るワークです。歩くスピードを速くしたり、スペースをどんどん狭くしたり様々な形で行いました。全員が床に寝そべり、目も閉じ、楽な姿勢になります。呼吸もそれぞれのペースでゆっくりと行い、リラックスしていきます。リラックスした後は、ペアで行うストップモーションです。じゃんけんをして勝ったほうが相手のどこかを手でさわり、動きを止めます。さわられた方はその手に影響を与えないようにそーーっと抜けていきます。先ほど行った、歩き回って「ストップ!」の掛け声で止まるワークのポイントを意識しながら行っていきます。

何度かペアをかえて行った後は、全体を二つにわけてストップモーションを行っている様子を見合います。観客席側と演者側に分かれ、まほさんの開場アナウンスが行われると、体育館が一気にストップモーションの発表会「さわって抜けてのショー」の雰囲気に一気に変わります。無音から始まり、徐々に柔らかいバックミュージックが流れ出し、ダンサー(受講生)の動きがますます洗練されたものに見えました。即興的な動きで、普段の動きに近いものであるにも関わらず、神秘的な雰囲気が漂っていました。

最後は全員で1曲踊り切ります。簡単な振り付けを覚え、曲に合わせて軽快に踊っていきます。
一通り振り付けを覚えた後は人間椅子取りゲームダンスということで、2人組になったり6人組になりながら踊っていきます。そして最終的には受講生36人全員で円になって踊ります。軽快な音楽、振り付け、ここまでのワークがあったからこそ、とても楽しい雰囲気で一曲踊りきることができていました。

踊りきった後は、先ほど同様にリラックスタイムです。各々のリラックスできる体制で呼吸を整えていきます。踊っていたときの「動」の自分とは正反対の「静」な自分を同時に体験することで、自分の身体を見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか。

ダンスのワークショップが終わった後は教室に戻って省察を行います。3限の様子をラッシュで見ながら、先週同様ティーパーティー形式で振り返りを行なっていきます。お菓子や飲み物を飲みながら、あまり話したことのない人とも話して振り返っていきます。先ほどのダンスのワークと繋がりを持たせるために、教室に音楽を流し、流れている間は歩き回り、音楽が止まった瞬間に周りにいるあまり話したことのない人と話せるようにします。受講生同士での振り返りを行なったあとは、先週撮影した「顔見知りの人と話すときのキッカケ」の動画を全員で見ました。

今週もテーマをかえて、同様の動画を撮影します。テーマは「あなたは人見知りの人と話すときに工夫していることはどんなこと?」でした。ティーパーティーのときの様子を振り返りながら撮影を行っていきます。最後はポートフォリオ作成です。各々の形でポートフォリオに3時間分の授業の様子をまとめていきました。次回は2回分のダンスの芸術表現体験活動をまとめる省察回です。

第8回 【省察】体験を振り返る2018

第8回目の授業は省察会です。2回にわたって行われたダンスワークショップの振り返りを行います。

1.キャッチコピーの作成。

まず、何を行なっていたのかを思い出すために、ダンスワークショップの様子をまとめた動画をみんなで観ました。ダンスワークショップに夢中になって取り組む受講生たちの表情と笑顔が映し出されて中には、こんな表情をしていたんだ!と驚くことも。ワークショップを振り返って、それぞれの回にまつわる自分のキャッチコピーを作っていきます。はじめは難しい…となかなか思いつかなかった様子でしたが、授業のはじめにキャッチコピーを書いてもらったときよりも、かなり短い時間で考えられていました。

2.授業について考える

「えんたくん」を活用して授業について考えてみます。授業の目的は?今まで受けてきた授業を振り返り、考えたことをグループでKJ法を用いてまとめてみます。

3.自分について考える

今日のゴールは「自分の売り」を作ること。授業を通して多面的自己に気づく、つまり、他の人を通して自分を考え自分でも気づいてない自分の「売り」に気づくのが狙いでもあります。授業のスタッフであるゼミ生達に写真や動画、メモなどを基に「受講生がどんな風にみえたのか」をフィードバックをしました。自分が他の人の目でどう見えていたのかを知ることで、自分に以外なところの発見につながるといいですね。

授業の構造や、この授業を受けて自分がどうかわってきたのか、ということを考えたあと、自分にはどんな能力があるのか、ということを広げて考えてもらいました。自分の「売り」とは「能力仮説のポジティブ度が高いもの」です。つまり、自分の売りを作るということは、自分の固有な能力を見つけることとそれを固有の言葉でポジティブに表現できるようになることです。以前に自分が作った能力仮説を見直してもらうために、「マインドマップ」方式で「自分」について考えてもらいました。

そして、このグループでの活動は今日でお別れ。
次回からは、新しいグループでメディア表現ワークショップを行っていきます。

第9回 【メディア表現1】アプリを使って作品をつくる2018

第9回目の授業です。本日から2回にわたって「メディア表現ワークショップ」を行います。「メデイア表現ワークショップ」では、苅宿研究室が開発したアプリケーションを使って作品づくりを行います。

この回から新しいグループで活動していきます。新しいグループでの初めてのワークになるので、まずはメンバーで「何ができそうか」を話し合ってもらいグループのキャッチコピーを作ることから始まりました。グループのキャッチコピーをつくるのはこれで3回目です。はじめてつくった時には、あんなに頭を抱えていたのに気づいたらどのグループもお互いに意見を出し合ってスラスラ決めていました!

キャッチコピーが決まったら、早速メインのメデイア表現ワークショップの体験へ。今回はグループごとに一台のiPadが配られ、作品づくりをしていきます。苅宿研究室が開発した iOSのアプリケーション「WSD Gadgets」という4つのメディア表現アプリが組み合わされたものを使います。

  1. 「逆転時間」逆再生の動画が撮影できます
  2. 「ドリコマ」コマドリ(ストップモーション)の動画が撮影できます
  3. 「ミラーカメラ」真ん中を軸に左右対照の鏡写しが写真が撮影できます
  4. 「マシカクカメラ」天地左右のない真四角な動画が撮影できます

これらのアプリを使用して、作品をつくってもらいます。まずは、アプリに慣れるところから。20分間、グループごとで映像を撮る場所や内容も自由に選んでもらい、芝生の上や池の隣、バスケットボールの広場、狭いロビーなど様々なところで話し合いながら作品づくり。

アプリに慣れたところでお互いの作品を見せ合い、他のグループではどんなものが作られていたのかを共有し合います。また、苅宿先生から廊下で映像を撮るとは切迫感を感じることと、人物がカメラに迫ってくること、場面を分けて撮るなど、撮影手法や場所をかえることで工夫することができると、アドバイスがありました。

色々なヒントを参考にもう一度、作品づくりをして、最後は作品発表!前半に撮影した作品をブラッシュアップしてみたり、新たな場面をつくってみたり、いろいろな作品ができあがりました。
今回の授業の裏テーマは「0→1の難しさを知る!」あえて見本を見せ過ぎず、あまり情報がない中で作品づくりをしてもらいました。「0」から作品づくりをする難しさを感じた人も多かったようです。

次回はどんな作品づくりになるのでしょうか! お楽しみに!

第10回 【メディア表現2】アプリを使って作品をつくる2018

第10回目の授業です。前回に続いて「WSD Gadget」を活用したメディア表現ワークショップを行います。

ただ前回の授業とは少し違う仕掛けが!前回の授業では、あえて見本を見せ過ぎず、あまり情報がない中で作品づくりをする「0→1」の作品づくりを体験してもらいましたが、今回は「1→10」の作品づくりをしてもらいます。

すでに前回の授業でアプリの機能には慣れてもらっているので、今回は作品づくりを始める前に、映像の例を見せながらもっと面白い作品をつくるための工夫ポイントを紹介しました。

また「逆転時間」「ドリコマ」それぞれのテーマをくじ引きしてもらい、グループごとにテーマに沿った作品づくりを行います。テーマは「カメハメ波」「日常をかっこよく」「魔法使い」「物を浮かす超能力」「臣人に食われる小人」「ホラー」など…カメラワークでも、奥行きやヒントや色合い、角度、アングル、遠近法などで工夫できるという説明受けて、作品作りへ。

アイデアを出し合い、映像を撮り、グループで協働作業している受講生たちの様子は様々!。テーマを元に1つ1つのシーンを細かく計画してから映像を撮るグループもあれば、話し合いの中で思いついたら即興にシーンを撮って試すグループもあり、どちらもお互いの意見を尊重し、1人1人が積極的に参加しているの姿がとても印象的でした。

2つのテーマを元に作品を作り終わって、教室に戻り、みんなでお互いの作品を見せ合いました。どんなことを工夫して撮っているのか、探ってもらいました。さらに作品の質を上げるために「プレゼンワークス」というアプリケーションを利用して、前半に作った2つのをテーマの作品を繋げてアフレコを入れることによって、ストーリー性のある作品に仕上げていきます。

最後には、出来上がった作品をみんなで鑑賞。前回から作品の質がレベルアップしているのが一目瞭然。内容やカメラの撮り方などに様々な工夫がされているものばかりでところどころ歓声や驚きの声が湧き上がりました。本日はここまで。来週でメディア表現ワークショップは最後になります。

第11回 【メディア表現3】アプリを使って作品をつくる2018

第11回目の授業です。

「WSD gadget-F」というアプリを使ってメディア作品を作るのは3回目になります。使用するのは先週も使用した「ドリコマ」アプリです。3回目ということもあり、前回までにどのようなスタイルでメディア作品を作ってきたかを振り返ってみます。

1回目は、初めて触れるアプリでどのように使うかも手探りの状態でとりあえず何か作ってみよう!という「0→1の」体験をしました。2回目は、カメラワークや構図などの見本動画やテーマを与えられることで「1→10」の体験をしました。

1回目・2回目の作品を再び見ことで、1回目より2回目のほうが”上手くなっている”ということを再確認しました。そこで生まれるのが、「どうして”上手くなった”のか?」という問いです。

ここでのキーワードは”模倣→増幅→逸脱”です。
模倣:とりあえず言われたものをやること
増幅:与えられたものから広げていくこと、つまり「1→10」のこと
逸脱:全く新しいオリジナルのものを生み出していくこと、つまり「0→1」のこと

普通であれば「0→1」のほうが難しいので、先に「1→10」の体験(2回目のメディア作品制作)をしてから「0→1」の体験(授業内でいうと1回目のメディア作品制作)をする方がスムーズにいくはずです。しかし、今回は0→1の難しさや「1→10」との違いをより体感するためにあえて先に0→1の体験をしたということが苅宿先生から明かされました。

では増幅の部分を一番活性化させる要素は何でしょうか?それは”他者との交流”です。他者との交流をすることで無意識の意識化がおこり、自分では思い浮かばないようなアイデアが生まれる可能性が高くなります。2回目の授業のリフレクションシートにもグループメンバーのおかげで自分にはない発想を体感したと書いてくれている受講生もいました。

そして3回目の今日は、再び増幅の体験をします。”クレイアニメ”と呼ばれる粘土でのコマドリ動画を見本に、LEGOでコマドリ動画の制作を行います。テーマは『2028年6月28日物語』です。10年後の未来を予想し、クジで選んだレゴ人形を主人公にコマドリ作品を作ります。

「ニオイや味を再現できるディスプレイが完成する」「登校拒否などを引き起こすメカニズムが解明され対処法が生まれる」「農作業完全自動化」など現在予想されている10年後の世界を紹介することでイメージを膨らませて行きます。そのイメージをもとに10年後の世界観とレゴ人形のキャラクターを設定して2人組で制作します。レゴの世界観を壊さないようにするための仕切りの段ボールや背景になる色紙などを使って各々想像した10年後の未来を作って行きます。

アフレコまでつけることができたら、次は発表会です。3グループに分かれ発表会を行いました。「未来の消防士は人ではなく動物になっているだろう」「森林破壊」「雨を自在に操れるようになる」「未確認生物の襲来」などハッピーなものからブラックなものまで想像した10年後の世界を表現していましたね。そして恒例のポートフォリオ作成をして今日の授業は終了です。

来週は苅宿ゼミ1期生3名によるトークイベントです。それぞれ「映像作家」「俳優」「写真家」として活躍しています。1期生は8年前の卒業生なので今の受講生の約10年後の姿である卒業生が来てくださることは今日考えた10年後の未来がよりリアルに来週は感じられそうですね。